瓢箪万作 デビュー作を読んでみよう!


自称天才作詞家としてヲチ板を大いに湧かせてくれた瓢箪万作。
彼がどんな名文・功績を残してくれたかは、まとめサイト過去ログをご覧ください。
まあ簡単に登場人物を説明すると…

瓢箪万作:本当のHNは「燕凰路雹」。本名・「二○水 としゆき」。
       天才作詞家で過去ジャニーズの作詞経験もあり、ボーカリストとしてはB'z稲葉に匹敵(以上、全部自称)。
       実際は20代半ばのニート。自サイトで曲のない「作詞」を、自分撮り画像の「ジャケット」に付けて大量に発表。
       恋人・amieとのノロケも日記に綴る。応募した文学賞や歌詞コンペでたま〜に入賞。
       下の写真はその自分撮り画像の変遷。急激に太っていきました。

 amie:チャットで瓢箪と知り合った、遠距離恋愛の恋人。大学生。本名は「○田 友」。
    やがて疎遠になったが、瓢箪は別れたという事実を認めず、そのまま脳内恋人にされてしまう。
    別れた後は瓢箪に勝手に日記を捏造されていた。

…よく考えたらこの二人くらいですね、主な登場人物って。
一応他にもいたことはいたんですが、この二人を知っていれば十分。
それくらい人付き合いがなかったんですよ、瓢箪って。


ネットから消え、時々懸賞に当たるくらいでしか掴めなかった足取りが判明したのは2006年3月、
小学生向けの推理ものアンソロジー収録作品に入選したことがきっかけです。
3年近く観察を続けてはいましたが、ついにメジャーの世界に足を踏み入れたのかと思うと感慨深い物がありました。
このアンソロジーは7月発行予定ということで、楽しみに待つことにしました。

しかし7月になっても発行元・偕成社のサイトには告知が載りません。
あまりに動きが無いのでメールを送ってみたところ、

>『推理・探偵シリーズ』は、編集作業の遅れにより、
>刊行時期が延びております。
>現在、著者に校正刷りを送り、校正をしてもらっているところです。
>今年の秋には、刊行できる予定ですので、
>もうしばらくお待ちください。
>よろしくお願いします。


とのことでした。

ところが、その秋になっても動きは見られず、やっと年末になって発行予告が掲載されたのです。
当初の予定より実に半年遅れての発行です。待ちわびたぞ!


…で、さっそく購入してきました。

(児童書コーナーなんて行くの、何年ぶりだろう…)

このアンソロジーは一度に5冊発行された中の一冊です。

しかし瓢箪もよく頑張ったなぁ、amieへの未練を吹っ切って努力したんだろうなぁ、と思いながら目次をめくると

なんと瓢箪、作家デビューで色気づいたのか新しいペンネームを名乗ってやがりました。













「友乃 雪」って!!!!

全然吹っ切れてねぇじゃん!!!!!



「友乃」の「友」は絶対amieのことだろ、これ。

「雪」も瓢箪の作詞や童貞小説で頻繁に登場するシチュエーションではあります。
たぶん自分の名前の「としゆき」にも掛かっているんでしょう。

まあ、このペンネームでも「燕凰路雹」よりはマシだけどね。


ペンネームにこだわってたら話が進みませんな。内容に行きましょう。

同じ本に収録された他の作品は「少年探偵団」的なノリのものばかりでしたが、
瓢箪の作品は探偵役の少年が単独で活躍するもの。
このアンソロジーには20枚という制限があるので、登場人物をむやみに増やさない瓢箪の選択は正しいと思います。
もっとも、多人数の描写ができないだけかもしれませんが。

瓢箪の作品は登場人物の少なさもあってか
トリックそのものよりも、容疑者との心理戦が謎解きのメインになっています。

実際のトリック(と言えるほどのものでもありませんが)は小学生向けで、
枚数制限もあるので若干苦しいものになっています。
セリフや文が妙に説明臭いのも、伏線を張るためには仕方なかった…のだと思いたいです。

その上で厳しい見方をするなら、セリフや無駄なエピソードが多く、それがストーリーを圧迫してしまっているような印象があります。
まあこれは、サイトで小説掲載していた時からの癖ですね。
「本筋に関係ない掛け合い漫談や無駄なディテールはいらない」とヲチスレでも散々言われてました。
かなり枚数が厳しいので、余分なところは極力削らないといけないんですがねぇ。

また、瓢箪の小説はやけに「児童」を意識しすぎているのも目に付きます。
キャラ作りや言い回しがバカ丁寧で、逆に嫌味にすら感じます。
他の入選者の作品はもっと文章がこなれていてサクサク読めるんですけど、そこはやはりキャリアの違いでしょうか。

瓢箪小説のもう一つの癖と言えば「擬音」。
瓢箪の小説には漫画のような過剰な擬音があふれていたものですが、
今作ではそれほどではなく、他の収録作品と比較しても気にならない程度でした。

(゚∀゚)アヒャ!


巻末には収録作家のプロフィールが紹介されています。
我らが瓢箪は…



たった1行!?
周りとのギャップも凄いですね。
いや、大した経歴が無いのは分かっているけど、それにしても淡白すぎやしないかと。
例えば「エヴァーグリーン・ソング」の優秀賞とかあるのに、それも書かないとは。
些細なことでもフカシまくっていた昔の瓢箪からは考えられません。
…ちなみに、その唯一の受賞歴「ほのぼの童話館佳作」の作品は以前は公開されていましたが今は削除されています。

最後に、児童小説の大家・木暮正夫氏の作品も収録されていますが
氏はこの本の発行の約10日前に肺癌で亡くなられています。
発行延期を繰り返したのはもしかすると病魔のために作業が遅れていたからなのかもしれませんね。


瓢箪のデビュー作、こんな感じで児童小説として見れば特別酷いと言うほどのものではありませんでした。
枚数制限と児童小説であるがゆえにご都合主義な印象はあり、文章の稚拙さも目に付きましたが、きっちりオチも付けてました。
まあ入選するだけのことはあるな、と。


さて、新ペンネームも判明したことなので、せっかくだから「友乃雪」で検索してみるか…






http://www.lib.pref.yamagata.jp/YMGLIB/servlet/search.detail_list?tilcod=1001000570050

なんと!

既に2006年8月にアンソロジーデビューを果たしていたのでした。
しかもよりによって新風舎! …大丈夫か、瓢箪?金無いのに。

探偵小説の発行延期がなく、予定通り7月に発行されていれば
あっちが処女作(瓢箪なら童貞作かw)になっていただけに少々残念です。

ま、何はともあれ、
瓢箪、商業デビューおめでとう!!


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